■幻のZF43(B) ZF43(B)はG41専用の照準鏡として、ZF41の主要メーカーでありcxnのメーカーコードをもつEmil Busch A-Gにより製造されたものである。 名称の「(B)」はBuschの頭文字を表し、また結局試作レベルで開発が中止されたことも示している。 この照準鏡に関する資料は少なく(*1)、詳細はほとんど不明である。ただ、それがG41のリアサイト位置に設置され、 30cm以上の長い接眼距離をもつこと、また1.5倍率のZF40と異なり4倍率であることなどから、ZF40の発展型あるいはより狙撃用に特化したタイプ として計画されていたのではないかと想像される。いずれにしても、ZF43(B)はG41と共に1943年末までにはG43とGwZF4の組み合わせに道を譲って消えゆく運命をたどることと なった。 ZF43(B)の全長は約190mm、その形状は専用のマウントも含めて独特なもので、接眼レンズ径の方が対物レンズ径よりもかなり大きい。レチクルのエレべーション (上下調整)は照準鏡上面のディスクで行い、ウィンデージ(左右調整)はマウント右側面の大型ノブにより行うとされる。 マウントはZF40用マウントと同様に現存しないが、照準鏡本体はいくつか現存するようである。下に米国のコレクターが所有する物を工場出荷用ケースと共に上面から捉えた 写真を掲載する。照準鏡上のマーキングは、型式名「ZF43(B)」、メーカーコード「cxn」、グリース記号「+」そしてシリアルナンバーが刻印されている。 |
以下に、新たにオーストリアから得られたZF43(B)の美麗なサンプルを紹介する。
この場を借りて、K98kフォーラムのAbsolut氏に貴重なコレクションの写真の提供について深く感謝を表したい。 同品のシリアルナンバーは「143158」であり、他に確認されているものは「143160」と「143161」であることから、ZF43(B)の生産シリアルは143100代であったと推定できる。この高いナンバリングがZF41生産品と連動しているとすると、この番号帯はZF41の2型と3型(ZF40)の間に見事に一致する。 【参照】 **ZF41 データベース** |
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(*1) | 文献F及び文献N。ただ、前者が後者の記事を参考にしているのは文中の引用から明らかである。 |
■参考文献リスト |