K98k用民間型望遠照準鏡     Page1



■はじめに


 実戦において狙撃用として真に威力を発揮したのは、軍制式のZF41でもその後に開発されたGwZF4でもなく、戦前から製造されていた民間用の望遠照準鏡であった。

 結果的に軍事用途に使用されたこれらの照準鏡には、多くのメーカーによる多種多様なタイプが存在したが、当時の軍関係資料においては個々にそれを取り上げたものはほとんど存在せず、"handelsueblich Zielfernrohr"(商業用望遠照準鏡)と総称されて取り扱われている(*1)。
 なお、ZF39(Zeiss製ZielvierとLow Turret Mountの組み合わせ)は実質この範疇に属すると考えられ、上記の例外と言えそうだが、マニュアルD134以外にその名称を見ることはない。

 このようなことから、軍部が当初はZF41、その後はGwZF4と、飽くまで軍制式望遠照準鏡を中心に据え、民間型照準鏡はその補完程度での活用を図るつもりであったことが想像される。しかしながら、結果的にはそれらの制式照準鏡の性能不振とその一方での照準鏡付き小銃を求める前線からの要求の増大により、徐々に民間型照準鏡の活用の拡大を図らざるを得なかったというのが現状であったように感じられる。
 このことは、当初の既存の望遠照準鏡の流用から、やがては製造への介入という形として表れている。

 このため、Karabiner 98kと共に用いられた民間型望遠照準鏡は、大別すると@民間用に製造されたものを後に軍用として適用したもの(民間転用型)とA戦争中期以降に軍との何らかの契約に基づいて製造されたもの(軍契約型)の二つに分けることができる。



NEXT
CONTENTS
HOME

(*1) 文献iv、文献v、文献C p.132 1943年10月7日付 "Allgemeine Heeresmitteilungen"、文献F p.89 等
■参考文献リスト
■メーカーコード一覧