K98k用民間型望遠照準鏡     Page5



■軍契約型望遠照準鏡(続き)


4)DIALYTAN 4x (dkl)
 dklはJosef Schneider & Co. Optische Werkeを示している。このメーカーもDIALYTAN 4xと刻印された照準鏡を生産しているが、dkl製DIALYTANはエレベーションタワー上面の形状を除いてbmj製DIALYTANとほぼ同一である。これはdklがbmjに金属部品の供給を受けていたためであり、dklは戦後には照準鏡を製造していないという(*1)。
 その一方、Schneider社のメーカーロゴが刻印されたDIALYTANが少数確認できるが、これらはすべて余った部品を使用した戦後の組み立てであるとするフランスのコレクターの意見がある。確かに、戦争中、しかも敗色濃厚の末期に商用メーカーロゴを打刻するとはかなり考えにくく思える(*2)。

 ■図:dkl製 DIALYTAN


5)Kahles 4x (cad)
 cadはオーストリアのKarl Kahles Optische Anstaltを示し、これは民間転用型で挙げたHeliavierまたはH/4x60の軍契約型版である。cadの刻印が見られるようになったのは、やはり1944年からで、それ以前のものにはH/4x60の刻印やKahlesのメーカーロゴがそのままで焦点調節装置が略されたものも見られる。
 cad製照準鏡には、グリス記号の刻印が見られないものが多いが、cadの刻印の上に△が刻印されたものも存在する。

 ■図:Kahles 4x


6)Optikotechna 4x (dow)
 dowが示すOptikotechnaは、現在のチェコ共和国Prerovに1933年設立されたが、開戦後の1939年にチェコスロバキアがドイツに占領されると軍に接収、"Herrman Goering Optische Verzeuge"と改称され、ドイツ軍用に多くの光学機器を生産することとなった。戦後は、1946年にMeoptaと再び改称し、今日に至っている(*3)。
 このメーカーは、すでに述べたように、1943年にはZF40-41/1を製造しており、1944年以降はGwZF4(ZFK43)も生産している。
 Karabiner98kと共に用いられた4倍率の照準鏡(型名不明)は、一般的な照準鏡と比べるとかなり特徴的な外観をしている。エレベーションタワーはなく、イメージとしてはZF40のスケールアップという印象で、鏡筒中心軸と同軸にエレベーションリングがある。
 この照準鏡の開発は戦前であると想像され、初期のものには対物レンズ側の端に焦点調節装置が付属する。これは後期では省略され、また対物側延長部が付属するものも存在している。
 このタイプの照準鏡で、Optikotechnaのメーカーロゴと思われる刻印がなされたものも確認でき、これは戦後の製品であると思われる(*4)。


7)Zielvier, Zielsechs (blc)
 Zielvierについては、すでに「ZF39」で述べたようにメーカーコードblcとグリス記号(+または△)、対物側延長部が付属したものが確認できる。ただ、一般の民間用のものに比べて現存するものがほとんど見られないことから、完全な軍契約型の生産数はあまり多くないのではないかと思われる。
 Zielsechsについては、グリス記号△が刻印されたものが確認できるが、メーカーコードblcや対物側延長部については確認できていない。




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(*1) 文献C p.218
(*2) 文献C p.206にSchneiderのメーカーロゴの写真あり。この意見が正しいとすると、同ページ掲載の「戦争末期試作品」も本当に戦中の製品か疑わしくなってくる。
(*3) Meopta社HP http://www.meopta.cz/ より
(*4) 文献F p.393には戦後チェコ製と思われるGwZF4上に同じ刻印がされたものの写真が掲載されている
■参考文献リスト
■メーカーコード一覧