■ZF41シリーズの変遷 ZF41系照準鏡に共通する特徴として、本体中央部に距離調整のためのエレベーションリングがあり、100mから800mに対応する1〜8までの目盛が刻まれている。また、対物側・対眼側の両端には板金製のレインシールド(Regenschutzrohr)が付属する。 本体、マウント共に外部機構としてウィンデージ(左右調整)を微調整する機能はなく、調整は対物レンズ側鏡筒のシールドを外し、固定ネジを外した上で鏡筒カバーをずらして調整用開口部より行う。これは内部の偏心状の対物レンズとスリーブを左右に回転させながら微調整を行う複雑な作業であることから、この調整は一般兵士が行うものではなく、技能をもった武器整備技師が行うものとされた(*1)。 これまでの調査により、ZF41系照準鏡は、物理的な機構(レンズ構成)からは3種類に分類できる一方、刻印された型式名には、ZF41、ZF41/1、ZF40、ZF40*の4つがあることが判明している(*2)。この他には"ZF40+"の名称が当時の文献にみられ(*3)、これはZF40*を指すと思われるが、"+"と"*"の相違の理由は不明である。そもそも、ZF40とZF40*の2種類が存在することの理由も不明である。 また、いくつかの文献(*4)においては"ZF41/2"が挙げられているが、名称が示されているだけであり、その現物は勿論、写真や当時の文献等、他では何も確認できないので、その存在は疑問である。 先述のとおり、刻印に関わらず物理的な外観、内部機構(レンズ構成)から分類すると、ZF41系照準鏡は3つに分けることができる。まず、ZF41の初期型と呼べるタイプ。これを"ZF41 1型"と呼ぶことにする。次いでZF41の後期型。これを"ZF41 2型"と呼ぶことにする。最後の1つはZF41/1である。 なお、ZF40*はZF41 2型と同型、ZF40はZF41/1と同型となっている。 ZF41 1型と2型のレンズ構成はほぼ同じ(*5)で、対物レンズが大型化している他、主として外見的な改良を加えたものであり、2型はcxnだけで製造されている。 両者の違いは、以下のとおり。
■ZF41の各型式と相違点 これらの変遷の過程は、ZF41の改良型(2型)がcxnで設計、先行して量産開始され、さらにレンズ構成の変更が加えられてZF41/1として制式採用後、他社でも生産開始されたということが考えられる。 これまでの調査で確認されたシリアルナンバーから類推すると、cxn製はZF41 2型が一番多く、ついで1型であり、ZF41/1は少ない。このことから、他社でZF41/1の生産が開始された後も、cxnではZF41 Type2の生産が継続されていたのではないかとも考えられる。 |
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(*1) | 文献 I p.111にMG34用ラフェッテ上にK98k-Zf41を載せて調整中の珍しい写真がある。 |
(*2) | これらの他に"ZF41M"と仮称する存在があることは、前節で述べたとおりである。 |
(*3) | 文献C p.97 1943.5.1付Heerestechnisches Verordnungsblatt |
(*4) | 文献D、文献K |
(*5) | 対物レンズ2群3枚、内部レンズ2群4枚、接眼レンズ2群2枚の合計6群9枚 |
(*6) | 対物レンズ1群2枚、内部レンズ2群2枚、接眼レンズ1枚の合計4群5枚 |
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